復職後、体調はいかがでしょうか。
「思った以上に体力が落ちていて驚いた」、「自宅での生活では気がつかなかったけれども、集中力が落ちていてショックを受けた」など、ご自身でも初めて気がつくこともあったかもしれません。
職場への復帰は、仕事と治療の両立のゴールではなく、通過地点です。
まずは1週間あるいは1か月程度、仕事に取り組む中で聞こえてくる、ご自身の身体と心の声に耳を傾けつつ、定期的に上司や産業保健スタッフとコミュニケーションをとってみましょう。
復職前に取り決めた働き方を変更してはいけない、ということはありません。
上司や産業保健スタッフとの話し合いのもと、会社内の制度を上手に活用しながら、徐々に元のペースで働けるよう工夫してみてください。
通勤による負担軽減のために出勤時間をずらす必要がある場合などに備えて、下記のような休暇制度、勤務制度を設けている職場もあります。ご自身の職場の設置状況を確認してみるとよいでしょう。
2013年に患者さんを対象に実施された調査で、がん患者さんの心の苦悩に関して、患者さん自身が求める情報や支援の1位は「体験談、同病者との交流」であったことが報告されました。(2013年静岡がんセンター実態調査報告) 患者さんからのニーズも高まる中で、現在、全国のがん診療連携拠点病院では、その地域の患者会の方、ピアサポーターの方と協働して、病院内で患者サロンを開催したり、地域のサロンを紹介したりすることが増えてきています。 患者会や患者サロンの場で、他の患者さんの歩みを聞きながら、自分自身が歩んできた人生を振り返ること、これからの自分の新たな生き方を模索すること、そのプロセスや共感こそが、がんに支配されない、あなたらしい明日への一歩を踏みだす力になることでしょう。また、あなたとの出会った誰かが、あなたとの交流で力を得ることもあります。
初回の治療後に自分のペースでの仕事を取り戻すには、少なくとも半年から1年はかかると言われています。
ただ多くの方が、「1日も早く復帰を」と希望し、復職後に「これまで普通にできたことができなくなっている」とショックを受けたり、時には、周囲からの疎外感を感じるほどつらさを感じる方もいらっしゃるようです。
こういったときには、身体への負担軽減を検討するのと同じくらい、ご自身のストレスに目を向けることも大切になります。ストレスの原因をなくすことは難しいかもしれませんが、ストレスが過剰にならないように上手にコントロールすることは可能です。
以下のことを参考にしならが、上手に向き合ってみてください。
一人だけで対処する必要はありません。必要に応じて、病院の精神医や臨床心理士、がん専門相談員を活用することも可能ですし、同じ体験をした患者さんの集まりで体験を共有することが力になることもあります。
もともとご自身がお持ちの対処方法だけでは解決が難しい場合は、病院や地域の第3者に支援を求めることも一つの方法です。お住まいの近くにある、患者会やメンタルサポートの専門職については、がん相談支援センターが情報を持っています。遠慮なくお聞きください。